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2026/08/24

高気密高断熱住宅の夏の室温を実測|外気温38.1℃・UA値0.46の家はどうなった?

高気密高断熱住宅の夏の室温を実測|外気温38.1℃・UA値0.46の家はどうなった? 画像

高気密高断熱住宅の夏の室温を実測|外気温38.1℃・UA値0.46の家はどうなった?

高気密高断熱住宅は、真夏にどのくらいの室温になるのでしょうか。 河井建築では、実際にお引き渡しした住宅で、室温・湿度・エアコンの消費電力量などを継続的に測定しています。 今回は、最高外気温38.1℃を記録した2024年8月に、UA値0.46・C値0.1の住宅で行った実測結果をご紹介します。

この記事で分かること

  • UA値0.46の住宅で、真夏の室温がどう推移したのか
  • UA値・C値を何のために確認しているのか
  • 高気密高断熱住宅でも夏の日射遮蔽が重要な理由
  • シェード・外部ブラインド・すだれなどの夏対策
  • 実測結果を次の住宅設計へどう生かしているのか

外気温38.1℃の日、高気密高断熱住宅の室温はどうなった?

こんにちは。
刈谷市にある工務店兼設計事務所、河井建築の前原です。

実は私、設計することと同じくらい「測ること」が好きです。

家が完成すると、温湿度を測ったり、エアコンの消費電力を確認したり、時にはサーモカメラを持ってお客様のお宅へ伺ったりします。


サーモカメラで住宅の表面温度を測定している様子

「設計した通りになっているかな」

「もっと快適にできるところはないかな」

そんなことを考えながら、一人で「おぉ!これはこれは」とニヤニヤしています(笑)

家は完成したら終わりではありません。

設計して、建てて、実際に暮らしてもらって、測ってみる。

そこで分かったことを、また次の設計へ戻していく。

今回は、2024年の暑い夏に行った実測を改めて振り返ります。

今回実測した住宅

今回の住宅は2024年に豊明市でお引き渡しした一棟です。

  • 所在地:豊明市
  • 延床面積:107.66㎡
  • UA値:0.46W/㎡K
  • ηAH値:1.9
  • C値:0.1㎠/㎡
  • 冷暖房設備:LDK 2.8kW(10畳用エアコン)
  • 2階:2.8kW壁掛けエアコン+ダクト式送風ファン
  • 24時間換気設備:日本住環境 ルフロ400
  • 測定期間:2024年8月1日〜8日
  • 連続運転・間歇運転を組み合わせて運用
  • 夏季は外部遮蔽部材・ハニカムスクリーンを適宜使用

ダイキンEシリーズ2.8kWエアコンを設置した2階空調室
ダイキンEシリーズ2.8kWエアコンを設置した2階空調室

測定期間中の最高外気温は38.1℃

期間中の平均外気温は31.5℃でした。

気象庁の過去10年間の同時期データから算出した平均外気温28.2℃と比較すると、約3℃高い条件です。

いや、本当に暑かった(笑)


外気温38.1℃を記録した高気密高断熱住宅の室温推移グラフ
外気温38.1℃を記録した高気密高断熱住宅の室温推移グラフ

ところが、外気温が日の出とともにぐんぐん上昇しても、室温は同じようには上がっていません。

条件の厳しい南側リビングでも、室温は約29℃付近で頭打ちになりました。

河井建築が夏に目標としている室温は26〜27℃程度です。

つまり、

まず建物そのものが、室温が上がりにくい状態をつくる。

そして、

必要な分だけエアコンに助けてもらう。

あと3℃ほど冷やせば目標室温へ到達します。

私たちは、この温熱設計の順番が大切だと考えています。

【画像:室温・消費電力量】
UA値0.46住宅の夏の温湿度とエアコン消費電力量の実測結果
UA値0.46住宅の夏の温湿度とエアコン消費電力量の実測結果

期間中の測定結果を平準化すると、8月のエアコン電気代は11,638円。

平年並みの暑さだった場合は7,797円程度と予測されました。

2024年は、それだけエアコンが頑張った夏でした。

UA値やC値は、競争するための数字ではありません

家づくりを調べていると、

「UA値はいくつですか?」

「C値はいくつですか?」

という数字を目にすることが増えたと思います。

河井建築ではHEAT20 G2相当を一つの基準として設計し、全棟で気密測定を行っています。
河井建築のUA値と断熱性能の基準
河井建築のUA値と断熱性能の基準

ただ、UA値やC値そのものをゴールにはしていません。

UA値は何のために計算する?

UA値は、建物の外皮からどの程度熱が出入りするのかを確認するための指標です。

河井建築では、この数字から必要な冷暖房能力まで考えます。

例えば、LDKが18畳だからといって、必ず18畳用エアコンが必要とは限りません。

高気密高断熱住宅では、建物性能に対してエアコン能力が大きすぎる場合もあります。

だから一棟ずつ外皮性能を計算し、日射や間取りと合わせて空調計画を行います。

UA値を出すために計算するのではなく、その先の暮らしとエネルギーを考えるために計算する。

そんな位置づけです。

C値は何のために測る?

C値も、小さな数字を出すこと自体が目的ではありません。


河井建築が全棟で実施している住宅の気密測定

河井建築が全棟で実施している住宅の気密測定

毎度おなじみのC値測定です。

住宅に気密性能が必要だと考える理由は、大きく4つあります。

  • 健康で快適な室内環境をつくること
  • 計画した経路で換気を行うこと
  • 壁内への湿気の侵入を抑え、壁内結露のリスクを減らすこと
  • 隙間から出入りする空気による熱損失を少なくすること

断熱材をしっかり施工しても、意図しない隙間が多ければ、そこから空気が出入りします。

また、換気扇を設置しただけで、設計した通りに家中の空気が流れるとは限りません。

どこから空気を入れ、どこから排出するのか。

その経路を成立させるためにも気密性能は重要です。

そして気密性能は、計算だけでは確認できません。

だから河井建築では、一棟ずつ実際に測定しています。

最近では気密性能を高めていったことで、高気密住宅で起こる「室内負圧」の問題が顕著化してきています。

室内負圧が大きくなると、停止中の換気口から空気が逆流したり、どこからか「ピー」という風切り音が聞こえたり、ドアの開閉が重くなったりと…影響が出てきます。

これはまた別の機会にしっかりと解説できればと思います。
 

夏の暑さ対策は「断熱性能」だけでは足りません

高気密高断熱住宅でも、夏の強い日射が窓から入り続ければ室内へ熱が入ります。

そこで重要なのが、

太陽をどう遮るか。

特に効果的なのは、窓の外側で日射を遮る方法です。

これは新築だけの話ではありません。

既存住宅、ご実家、賃貸住宅でも取り入れられる方法があります。

昔ながらの「すだれ」も、実はとても理にかなっています。

軒・庇で日射を遮る

建物そのものの形で夏の日差しを遮ります。

ただし、長ければよいわけではありません。

冬には太陽の熱を室内へ取り込みたいので、日照シミュレーションを行いながら長さを検討します。

夏の日射を遮る深い軒を設けた住宅施工例
夏の日射を遮る深い軒を設けた住宅施工例

軒や庇には、外壁を雨から守り、建物の耐久性向上につながる役割もあります。

シェードで窓の外側から遮る

比較的導入しやすいのがシェードです。

河井建築でも採用することの多い日射遮蔽方法です。


シェードの有無による窓周辺の表面温度をサーモカメラで比較
シェードの有無による窓周辺の表面温度をサーモカメラで比較

実際に測ると、日射が当たる部分と遮られている部分では表面温度に違いが見えます。

LIXILのスタイルシェード資料でも、室内側のカーテンに比べて、窓の外側で日射を遮ることで太陽熱の侵入を大きく抑えられることが示されています。

ぜひ「夏の日よけは外で」と覚えてください。


出典:LIXIL「スタイルシェード」
出典:LIXIL「スタイルシェード」

外部ブラインド

外部ブラインドは、フィンの角度によって日射や視線を調整できます。


住宅窓に設置したヴァレーマ外部ブラインドの施工例
住宅窓に設置したヴァレーマ外部ブラインドの施工例

日射遮蔽だけでなく、プライバシーや採光も調整したい場合に使いやすい選択肢です。

個人的には見た目もすっきりしていて好きです。

採風式シャッター・雨戸

日射遮蔽と防犯を両立したい場合には、採風式シャッターも選択肢になります。


夏の日射遮蔽に使えるLIXIL製採風式シャッター
夏の日射遮蔽に使えるLIXIL製採風式シャッター

不在時間の長い共働き世帯などでは、暮らし方に合う場合があります。

すだれ

言わずもがな。

ホームセンターに売っている、あれです。


住宅窓の夏の日射遮蔽に使う昔ながらのすだれ
住宅窓の夏の日射遮蔽に使う昔ながらのすだれ

安価で取り入れやすいのが大きなメリットです。

耐久性は高くないため、定期的な交換が必要になることもあります。

グリーンカーテン

アサガオやゴーヤなどのツル性植物で日射を遮る方法です。


ゴーヤなどの植物を使った夏の日射遮蔽グリーンカーテン
ゴーヤなどの植物を使った夏の日射遮蔽グリーンカーテン

風通しや目隠しにも使えます。

ゴーヤやキュウリなら食育にもなりますし、

夏休みの研究課題にはモッテコイ!

窓の表面温度や室温の差を測ってみると面白いと思います。

最新設備でなければパッシブデザインができないわけではありません。

昔ながらの知恵でも、植物でもいい。

大切なのは、

その家、その窓、その暮らしに何が合っているか。

です。


室内床の日射が当たる場所と日陰部分の表面温度差を示すサーモ画像
室内床の日射が当たる場所と日陰部分の表面温度差を示すサーモ画像

だから河井建築では、設計段階から周辺建物も含めて日照シミュレーションを行います。

夏はどこから日差しが入るのか。

冬はどこまで太陽の光が届くのか。

そこからLDKの位置、窓、軒や庇、必要な日射遮蔽を考えていきます。

私たちが知りたいのは、数字のその先です

実測すると、たくさんの数字が出てきます。

室温。

湿度。

消費電力。

UA値。

C値。

もちろん全部見ます。

でも、最後に知りたいのは、

「実際に暮らしてみて、どうでした?」

ということです。

夏に家の中にいて暑くないか。

エアコンをつけたら快適な室温まで無理なく戻るのか。

冬の朝、布団から出るのがつらくないか。

光熱費はどうだったか。

子どもたちは家のどこで過ごしているのか。

設計の答えは、シミュレーションの計算書の中だけにはありません。

シミュレーションして、

建てて、

測って、

実際に暮らしているご家族のお話を聞く。

そこで初めて分かることがあります。

そしてその学びを、次のお客様の設計へ戻していく。

家づくりは、建てて終わりではありません。

UA値もC値も、日射遮蔽も空調計画も、その家で長く心地よく暮らしていただくための手段です。

2026年の夏も実測します

2024年の夏は、期間中平均外気温31.5℃、最高外気温38.1℃という厳しい条件でした。

2026年の夏は、今のところ2024年より少し穏やかに感じています。

だったら、また測ってみようと思います。

同じように室温、湿度、エアコン消費電力を測ったら、2024年とどのような違いが出るのでしょう。

外気温が違えば、消費電力はどう変わるのか。

そして何より、実際に暮らしているご家族はどう感じているのか。

ということで、2026年の夏も測ってきます☺︎

結果がまとまりましたら、建築研究室から改めてご紹介します。
 

まとめ|今回の実測から分かったこと

  • 外気温38.1℃の日でも、南側リビングは約29℃付近で推移した
  • UA値は数字そのものではなく、必要な冷暖房能力や省エネルギーを考える判断材料になる
  • C値は快適性・換気・壁内結露・熱損失を考える上で重要
  • 高気密高断熱住宅でも、夏の日射遮蔽は欠かせない
  • シェード・外部ブラインド・すだれなど、既存住宅でもできる暑さ対策がある
  • 設計値だけではなく、完成後に実測して暮らしを確認することで次の設計へ学びを戻せる

高性能な数字をつくることが目的ではありません。

その性能によって、

毎日の暮らしがどう変わるのか。

そこまで確認することが、私たちの家づくりだと考えています。
 

よくある質問(FAQ)

Q. UA値0.46とはどのくらいの断熱性能ですか?

UA値は、住宅の外皮からどの程度熱が出入りするかを示す指標です。数値が小さいほど熱が逃げにくく、入りにくい住宅になります。河井建築ではHEAT20 G2相当を一つの目安として設計しています。

Q. C値は小さいほど良いのでしょうか?

C値は住宅の隙間量を示します。小さいほど気密性能は高くなりますが、数字そのものを競うことが目的ではありません。快適な室内環境、計画換気、壁内結露対策、熱損失低減などにつなげて考えることが大切です。

Q. 高気密高断熱住宅でも夏は暑くなりますか?

断熱性能が高くても、窓から強い日射が入り続ければ室温は上昇します。そのため、夏は断熱性能だけでなく、軒や庇、シェード、外部ブラインドなどによる日射遮蔽も重要です。

Q. 今住んでいる家でも日射遮蔽はできますか?

はい。シェード、すだれ、グリーンカーテンなど、既存住宅や賃貸住宅でも取り入れやすい方法があります。特に窓の外側で日射を遮る方法は夏の暑さ対策として有効です。

Q. 河井建築では完成後も温湿度を測定していますか?

すべての住宅で常時測定しているわけではありませんが、お引き渡し後の住宅で温湿度や消費電力などの実測を継続的に行っています。その結果を確認し、今後の設計や空調計画の改善へ生かしています。
 

性能の数字だけではなく、その先の暮らしまで一緒に考えます

「UA値はどこまで必要?」

「この土地の日当たりは大丈夫?」

「高気密高断熱住宅では、どんなエアコンを選べばいい?」

家づくりを調べるほど、分からないことが増えてしまうこともあります。

河井建築では、性能の数字だけでなく、

暮らし、土地、予算、間取り、空調まで含めて、一緒に整理するところから始めています。

暮らし相談室はこちら 

👉【note記事はこちら】【河井建築|性能を「暮らし」に翻訳する建築士】

この記事を書いた人
前原麻未

河井建築|性能を「暮らし」に翻訳する建築士

前原 麻未

建物だけでなく、土地・資金計画・耐震・断熱・住環境まで含め、そのご家族にとっての住まいの最適解を一緒に考えています。

新築だけでなく、リフォーム、性能向上リノベーション、中古住宅購入など、住まいの選択肢は人によってさまざまです。

私は「家づくりに唯一の正解はない」と考えています。

だからこそ、お客様の想いや将来の暮らしを整理しながら、そのご家族に合った選択肢を一緒に見つけることを大切にしています。

保有資格

二級建築士 / 木造建築士 / 宅地建物取引士 / インテリアコーディネーター
住宅ローンアドバイザー / 福祉住環境コーディネーター3級 / 耐震化アドバイザー

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| Created by ABABAI Co.,Ltd.
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